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青木 健
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青木 健(あおき けん)イラストレーター他。 ラーメンのフリーペーパー「ラーメンバンク」にて漫画を連載中! ラーメンは数ではなく愛がモットー(1週間で29杯が最高)。 ラーメンをテーマにしたTシャツ屋さん【ラ部】を運営中!
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2007年08月17日

若者と若輩者

その日に行った、2店の若者が目につきました。

まず、がんこ八代目からも近い新店「懐かしの中華そば 賓むら(ひんむら)」へ。
駄菓子のコーナーがあったり、古いレコードが壁に貼ってあったり、
「ヨシベー」みたいなレトロ演出。
(「演出」としたのは、本当の昔の店にはそんな内装はなかったから)
甘めのスープからは独特の風味がして、なかなか美味しい。

久々にTシャツが目についた。ロゴ入り。カラーは2種。


蛍光色のTシャツそのものにレトロっぽさはないけど、
まるで駄菓子のパッケージのようで、この店舗にはハマってる。
ヤンチャそうなニイちゃんたちが2人、くっちゃべりながら働いている。
くっちゃべってはいるけど、客にはキチっとした応対をしています。


それから続けてもう1軒。こちらは「A」としておきましょう。
味も場所も伏せますが、某有名店の支店。

「賓むら」が、にぎやかで手作り感のある店内だったのに比べ、
こちらはシックで洒落ていて、粋な風情の店内。
どちらも「下町」を意識しているとはいえ、趣は全然違う。
違うことのひとつが、厨房が見えるかどうかということ。

「賓むら」は、奥の方に少しだけ厨房がのぞいているが、
調理らしい調理は確認できない。しゃべってるのも厨房でだけ。
「A」は完全なオープンキッチンで、ほぼ全ての工程が見える。

さて、
「A」には店員が5〜6人。みんな若い。
わたしの座ったカウンター席の目の前にいる店員(B君としよう)が目についた。
目は1点の空(くう)を見ていて、片方の腰に体重をあずけて立っている。

映画「タンポポ」のガン(渡辺謙)みたいに「オレ、イヤな予感がする」。
いい店にはこの手の店員がいないからだ。
無愛想や無口な店員よりずっと問題なのは、やる気のない店員。

そのB君がわたしの目の前で、シンクの生ゴミを捨てた。
両手じゃないと持てないような大きなカゴ。5〜60センチはあるかな。
その中には茶色くなった麺や具がギッシリ。それをバケツに空ける。
どろっ、どろろろろーーー(失礼)
あ、あのさー、どうしてせめて背を向けてできないんかね。
食事前の人間に汚物を見せることに、なにか良い効果でも?

 池袋の某店でも、バーみたいな洒落たオープンキッチンなのに、
 生ゴミバケツやら清掃道具やらを、客から見えるところに配置している。
 ありきたりな内装の中華料理屋より、よけいに汚さが際立つ。
 「美しさ」を、美的感覚ではなく金に頼るとこういうことになるのだ。


わたしの麺がゆでられている間、B君は指をいじったり、
ステンレスの棚に指で文字を書いたり、小学生みたいに時間を過ごしてる。
麺がゆであがると、B君ともう1人が近寄ってきて、具を乗せる。
するとB君は、誰も何も言わないのに、いきなりヘラヘラ笑いだした。
こういうのって、かなり客の血を熱くさせるね。

B君はもう1人の店員に、指でレンゲを乗せるよう指示され、
あわてて乗せ、運んできた。ああ、これはたぶん……

「オマタセマシター」

……やっぱり。差別じゃなく、体験でわかるんだよな。
月に1度は海外出張している友人に聞くと、
「大陸系ってのは『一握りの優秀な人間』と『その人間さえいれば、
 自分たちは食いっぱぐれないだろうって考える連中』しかいない」
とため息まじりに話してくれた。
それを鵜呑みにするわけでも、全員が全員そうじゃないとも思うが、
日本人でこれだったら、さすがに同僚も黙ってないだろうし。


さてこのとき、客はわたしだけになっていた。

するとわたしから椅子一つあけた席に、二十代(前半?)の男性が座った。
彼は客ではない。シフトの終わった店員だ。
半身になって座り「ハー疲れた疲れた」と言う彼は、賄いを食べるらしい。
…普通、賄いって客から離れた席や、入口から遠い席で食べないか?
わたしの席以外、全席空いてるんだよ? なぜここに?

 「隠國」の店長さんは、賄いを食べる時、注文の切れ間を見計らい、
 具のほとんど乗っていない大盛りのラーメンを作り、箸を割りながら
 裏口から外へ出た。そして5分もしない間に戻って、すぐに仕事。
 賄いの調理にも食事にも、極力時間をかけないようにしているのだ。


ガツッ、という音がしたので見ると、
C君がカウンタ−に携帯電話を投げ出した音だっだ。
「っとねー冷やつけがいい! 中で! 中目黒でおねがいしゃーす!」

極寒なシャレはさておき、なぜ彼がここに座ったかわかった。
まったく口を閉じない。まだ働いている店員たちと話したかったからなのだ。
ここからなら、厨房全体が見渡せる。
奥の方にいる店員まで彼と話すから、わたしの頭上を声が行き交う。

C君はそのまま携帯で通話、「フラレちったァ〜!」と笑って電話を切った。
電話が終わっても、「休みてェ〜〜!」「海行きてェ〜! マジで」
と、目の前の店員(店長?)に言っている。


「賓むら」は一見チャラけてるようでそんなことはない。
「A」はキチっとしてるようで、そーとーチャラい。


「A」は初めに書いたとおり超有名店の支店だけど、
その各支店ではこんな体験は1度もない。
ないというか、ありえない。とてもサービスに気を使っている店だからだ。
他の店舗だと、水を一口飲むときでも、きちんと後ろを向くしね。

一応フォローしておくが、「A」にも、黙々と仕事をしている人はいた。
帰りには大きな声で挨拶するし、おじぎも深々とする。
でもそういうお店だからこそ、だらしない点がとても目につく。
映画「タンポポ」に出てくる店「大三元」と変わらないぞ。

そんな「A」のTシャツは………って、Tシャツだったのかすら憶えてません。
それくらい頭に血が上っていたということですね。  
Posted by 青木 健 at 00:53Comments(2)TrackBack(0)