2007年08月01日
通リスト

先日、ラーメン王・石神秀幸さんが、ご本人初の活字のみによる著書
「ラーメンの神髄」を発売されました。
相変わらずの石神節も炸裂!していて、読書の遅いわたしも2時間弱で読了。
いわゆる石神本や、彼が監修されている漫画「ラーメン発見伝」を
熟読していれば、すでに知っていることも多いですけどね。
ただ、客に限らず店主や評論家など「他人との比較」での主張が多く、
「○○○○○…などという人がいる。しかし…」
という文体が目立つ。ちょっと攻撃的というか、反感買いそうな物言い。
普段からよっぽど不満だったんかいな、と思っちゃいますね。
でもこれが石神さんの真骨頂(といったら皮肉かしら)。
ところで、わたしが気になったのが次の一文。
「通を気取るために無理矢理、作法を作って語る輩がいます」
どおぉう、ラ部には作法がこれでもかってくらいありますが(^-^;
「通を気取る」か………とちょっぴり凹まされましたが、その夜のこと。
昨年放送されたNHKの番組が再放送されました。
その名も“通” (焼肉編)です。これも縁かと観てみることに。
YAKINIQUEST(ヤキニクエスト:焼肉をこよなく愛する集団)
という方々が登場し、焼肉のこだわりについて語るという番組。
芸人・ますだ岡田にYAKINIQUEST流の食べ方を指南し、
彼らを驚愕させながら焼肉のディープゾーンへ誘っていくのです。
そこにアナウンサーの実況とともに服部幸應さんが解説を加えます。
ほかにも有名店主がそれぞれオススメの食べ方を紹介したり、
松村邦洋と中川翔子が語ってたりと、実に面白かった。
そしてココがわたしの琴線を引き千切るほどに触れたのですが、
YAKINIQUESTが、こんな言葉を連発していたんです。
手かざし温度チェック、1枚入魂、スタビライザー、レモン直搾り、
肉汁でのやけどは名誉の勲章、ファットファースト、鶴の構え、
追いダレ、RRS(ローリング・ロース・スペシャル)、リーンバック、
オートリーンバック、ブリッジ…
すべて、焼肉を焼く際に使う「技」の名前。
焼肉に関しての用語として、彼らが命名したものです。
そして、最後にYAKINIQUESTのひとりの方がこう言ったんですよ。
「今日ぼくら、色んな技とかやったんですけど、
やっぱりああいうのが本当に正しいかどうかってのは別にして、
積極的に自分が“焼き”にかかわって、
どうしたら美味しく焼けるのかなっていうのを探求していく
っていうのがぼくらの言いたいことなんですね」
そうっ!!!!!!
そうなんだよーー! 気付くとテレビを抱きしめていました。
わたしも誰かに啓蒙しようなんて考えはない(嘘。少しはある)。
自分はどうしたらより美味しく食べられるだろうということを
常に問いかけているだけなんだよね。
技の名前とかも、その気持ちを補強する要素でしょう。
同じことやってるわたしには痛いほどわかる。
で、石神さんの話に戻りますが、彼はこうも書いています。
「強いて言うならば『ラーメンがまずくならないための食べ方』
—これが、正しい食べ方と言えるのではないでしょうか」
それが作法の基本理念でしょうにとツッコミたくなりますが、
わたしはそれを自分に課して、研究・実践しているに過ぎんのですよね。
(なんだかんだいって、石神さん本人もいくつか作法を書いてますしね)
だからわたしの作法は主に、どういう姿勢で臨むか。
つまりラーメン以外の食でも当てはまることが多いのです。
先ほどの番組の最後には、焼肉の聖地・大阪鶴橋で、好き勝手に
自己流コダワリ焼肉を堪能する人たちが紹介されました。
網いっぱいに肉を広げ、サンチュにご飯・味噌とともに巻いて食べる人、
ホルモンのタレをキャベツに塗って焦げを防ぎ、最後は一緒に食べる人、
それぞれが独自路線の作法を用いて楽しんでいる。
確かに、客の調理性が高い焼肉とラーメンとでは違いますけどね。
でも、
チャーシューをスープに沈める人、「麺固め」を盲目的に頼む人、断固拒む人、
固ゆで玉子をレンゲ上で崩す人、スープを吸った海苔でご飯を食べる人、
つけ麺の麺は、まずは何もつけずに食べる人、つけダレをぶっかける人、
ラーメンの麺をご飯の上に乗せて食べる人、油そばを飯割りする人、
…これで結構たくさんの楽しみ方が存在するんですよね。
映画「タンポポ」の大友柳太郎演じるラーメンの先生が、渡辺謙に
「先生、最初は麺からですか?スープからですか?」と問われてこう答えます。
「まずは、ラーメンをよく見ます」
ラーメン界のイチローと呼ばれる「ちゃぶ屋」の森住さんは、
ラーメンフリークがしている「手仰ぎで匂いを嗅ぎ」「じっくり撮影し」
「森住さんを見つめながら食う」ことに苦笑いしていました。
「ラーメンを、美味しく、楽しく、面白く」
自称日本一ラーメンを食べた男・大崎裕史さんの言葉です。
「美味しく味わう」ことへの近道を「通」るためなら
「通気取り」と言われることも、作法を捨てることも厭わない。
それもまた、きっとラーメンが教えてくれる。
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ヤキニクエスト【クチコミコミュニケーション】at 2007年08月21日 12:15
この記事へのコメント
食べ物だから美味しく食べるのが基本ですよね。楽しく食べたいです。それに作法が付いてきても楽しく食べれれば(作法を楽しめれば)いいですよねー。作法があると「あーじゃない、こーじゃない」と論議もでてますますラーメン消費も楽しくなるようなきがするな。
Posted by Satomi at 2007年08月02日 10:16
●Satomiさん
食は根源的な楽しみですもんね。
人の興味をあまりそそらない食べ物だったら、
作法だ正道だのと、そんなに語られないですし。
賛否両論あるというのは、それはラーメンにとって幸せなことなのでしょう。
食は根源的な楽しみですもんね。
人の興味をあまりそそらない食べ物だったら、
作法だ正道だのと、そんなに語られないですし。
賛否両論あるというのは、それはラーメンにとって幸せなことなのでしょう。
Posted by 青木 健 at 2007年08月02日 12:43

